ミュート
吹奏楽で使われる金管楽器はどの楽器もミュートと呼ばれる弱音器が存在します。ミュートは金管楽器のベルに差し込んで音量や音色を変化させるものです。音量は響きが抑えられ、音色は鼻をつまんだような音になります(音色の変化はミュートの種類により違います。後述)。弱音器と日本語訳されていますがその使い道はどちらかというと音量を弱めることよりも音色の変化をその目的として使われます。作編曲家は自由にミュートの使用を指定していいんですが全ての楽器がミュートを持ち合わせているかは演奏者によるので確認がとれない場合はオーソドックスなもの以外は使わないほうが無難。
ミュートの指示はmuteとだけ書くとどのミュートを使えばいいのかわからなくなるのでできるだけ後述の各種ミュートを個別に指示するべきです。また、着脱にかかる時間はそれぞれの楽器、ミュートによって違います。概してトランペットはすばやく取り外しができ(約2秒〜)、トロンボーン→ホルン→ユーフォニアム→チューバの順に時間がかかります(ホルンは腕に引っ掛ける紐がついたミュートではけっこう早く着脱できます)。演奏者が慌てて失敗しないように余裕を持った時間を確保するべきです。指示語には他にcon sordinoなどがあります。外す指示はOpen、senza sordinoと書きます。
ストレートミュート(straight mute)…円錐形を基にデザインされているミュートで材質によって音色は違いますがおおよそ金属的な音になります。小さい音量では金属的な音色は抑えられこもった感じになり、大きい音量では鋭い金属音になります。材質は金属のほか木製などもあります。
カップミュート(cup mute)…ストレートミュートに傘(カップ)を付けたミュート。ストレートミュートよりさらに鼻をつまんだような音色になります。カップをはずすことでストレートミュートとして使えるタイプのものもあります。
ハーマンミュート(harmon mute)…主に金属でできているミュート。中心を貫くように穴が空いていて細く金属的な音色になります。
ワウワウミュート(wah-wah mute)…ハーマンミュートの穴に漏斗のような筒を付けたもの。筒の先が小さなベルのようになっていて手などで筒を開けたり塞いだりすることによってより詰まった金属音に変化を付けることができます。
プランジャーミュート(plunger mute)…プランジャーとはおトイレ掃除に使うアレです。それでベルを開けたり塞いだりすることで普通の音とこもった音を使い分けます。アマチュアバンドではカップめんの空き容器などで代用しているのをよく見かけます。ミュートとして売られているものはほとんどないのにもかかわらずよく指示されていたりします。
ミュートがよく使われるのはトランペットで次いでトロンボーンです。ほとんどの場合ストレートミュートを個人か所属団体でそろえています。トランペットの場合、カップミュートもそろえていることが多いです。トロンボーンもあることが多いです。その他のミュートもトランペットは使われる機会がよくあるので持っていることもあります。
ホルンでは主にストレートミュートを使用しますが持っている人はまだまだ少ない印象。ゲシュトップやハンドミュートで凌ごうとする輩もいるようですが本来違うものなのでやめましょう。
ユーフォニアム、チューバにもミュートはありますが他の楽器に比べて使用頻度は低く、お値段もそれなりにするのでアマチュアバンドではほとんど見かけません。
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